静岡県熱海市の土砂流被害を受けて,盛り土規制を強化する宅地造成等規制法改正案の全容が,2022年2月17日に判明しました。
都道府県が指定する区域の造成を許可制とし,法人に対しては,無許可造成や是正命令違反に最高3億円の罰金を科す規定を新設します。
また,「盛り土規制法」に改称し,宅地・森林・農地など土地の用途にかかわらず全国一律で適用します。3月上旬に閣議決定し,通常国会に提出するようです。
【現行法】では,個人法人問わず「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」にとどまっていました。
【改正案】では,個人への罰則も「3年以下の懲役または1千万円以下の罰金」に引き上げられます。
都道府県や政令指定都市,中核市が,盛り土の崩壊で住宅に被害が出る可能性があるエリアを規制区域に指定します。
区域内で宅地造成や残土処分などをする場合,安全基準などの要件を満たせば許可されます。
盛り土が行われた土地を,「所有者らが安全な状態に維持する責務がある」と明記されます。
排水設備や擁壁の設置といった安全基準に違反したり管理不全だったりする場合,自治体が現行の所有者だけでなく,施工業者や過去の所有者らにも是正命令を出せるようになります。
工事途中や完了段階で,自治体が基準への適合や管理状態を検査することとし,実効性の確保を図ります。
盛り土は,宅地や森林,農地など土地の用途によって異なる法律,自治体の条例で規制されており,規制の緩い地域で建設残土が不法投棄されるケースが多いと指摘されていました。
このため,用途を限定しない包括的な規制に切り替えました。
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