国が定めた国家資格のなかで,最難関に位置する「一級建築士」。
建築関連資格の中で,一番難易度が高い「一級建築士」の上位資格である「構造設計一級建築士」。
世間一般には,あまり知られていませんが,そんな超難関資格の
令和2年度の合格(=講習修了)者の「285人」おめでとうございます!
構造設計一級建築士制度について
平成20年11月28日に施行された改正建築士法で創設された比較的に新しい資格です。
以下に示す,一定以上の規模の建築物
- 木造で高さ13m又は軒高9mを超える建築物
- 鉄骨造で4階建て以上の建築物
- 鉄筋コンクリート造で高さ20mを超える建築物等
の構造設計については,「構造設計一級建築士」が自ら設計を行うか,若しくは「構造設計一級建築士」に建築士法に定める構造関係規定への適合性の確認を受けることが義務付けられました。
なぜこのような資格が創設されたかというと,平成17年(2005年)に発覚した「構造計算書偽装問題」があったからです。
構造設計一級建築士になるための最低の条件とは?
■「一級建築士」として,5年以上「構造設計」の業務に従事すること。
となります。
具体的にいうと,前に掲げた「一定以上の規模の建築物」の建築物の設計を責任を持って行うことが可能ということになります。
構造設計一級建築士になるための条件とは?
- 所定の講習(2日間)のすべて講義に出席すること。
- 上記講習の「修了考査」において,全ての科目で合格すること。
簡潔にいうと,上記の二つをクリアすればよいのですが,修了考査の試験がなかなか手強いのです。
次に,に修了考査の内容を示します。
終了考査試験の内容
考査区分 | 出題形式 | 出題科目 | 出題内容 | 考査時間 | |
---|---|---|---|---|---|
午前 | 法適合確認 | 記述式 | 構造関係規定に関する科目 | ・記述式問題5問 | 3時間 |
午後 | 構造設計 | 4肢択一式 及び記述式 | 建築物の構造に関する科目 | ・4肢択一式20問 ・記述式問題 3問 | 3時間 |
令和2年度の「講習受講者」と「講習修了者」の人数
- 講習受講者(790人)
- 講習修了者(285人)
- 講習修了率(36.1%)
【補足】昨年度(令和元年度)は,講習修了者(217人),講習修了率(28.1%)であったので,いずれも高い数字になっています。
令和2年度の「講習地別」の修了者数
- 札幌市 (7)
- 仙台市 (6)
- 東京都 (172)
- 名古屋市(19)
- 大阪府 (49)
- 広島市 (9)
- 福岡市 (23)
構造設計一級建築士の人数は?
資格創設後,ようやく10年間経過して,10,000人を超えました。
正確なデータは(「合格=登録」ではありませんので),現在でわかりませんが,(公財)建築技術教育普及センターの発表(2019.4.1現在)によると
- 一級建築士「37,3490人」
- 構造設計一級建築士「9,986人」
と公式に発表しています。
一級建築士のなかで,構造設計一級建築士が占める割合は,
9,986/37,3490=0.0267
という計算式から,一級建築士のなかで構造設計一級建築士を所有している人は,約2.67%にすぎません。
勉強方法(試験対策)
日常的に色々な構造形式の構造設計を行っている方は,極端に特別な試験対策をしなくてもいいのではないかと思います。
ほとんどの受験生は,独学になると思います。
次の2点で合格できます。
- 日常の構造設計業務を「理論的」にかつ「合法的」に遂行すること
- 時間があれば,「過去問」を解いてみること
一番目の「合法的」に関しては,「建築物の構造関係技術基準解説書」(俗に言う「黄色本」をしっかりと読むことです。
ここで注意したいのは,「黄色本」は,2007版→2015版と改訂されており,最新版は「2020版」です。
可能であれば,最新版を購入することをお勧めします。(試験は,改訂されたところからの出題が多いです。)現在,購入者が多いため入手することが難しいかもしれません。下にリンクを貼っておきます。
次の過去問に関しては,JSCA(日本建築構造技術協会)で販売しています。
午前中の「法適合確認」の試験は,記述式ということもあり,時間が足りません。
知っている用語をとにかく書きまくって「空欄」はなるべく避けましょう。
難関資格ではありますが,「構造設計一級建築士」の取得にチャレンジしてみませんか?
参考リンク集
構造設計一級建築士試験対策【令和元年度の考査問題及び修了判定の概要を独自に解説】
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