この投稿は,「建築業界」様方に向けた記事になります。
建築基準法の改正は,とても複雑ですので分かりにくいです。したがって,建築基準法についての概要をまとめてみます。参考にしてください。
建築基準法の改正概要
建築基準法の成立
建築基準法は,昭和25年法律第201号として成立しました。
我が国において,最初の建築法規としては,西暦701年の大宝律令で定められた「他人の家を覗き見る楼閣の建築禁止」であるといわれています。
その後,奢侈(しゃし)を抑える目的や身分制度によるものなどが各時代に定められ,江戸時代には,防火の観点から瓦屋根を奨励する布告が出されました。
明治時代になり,明治5年の銀座大火の後,煉瓦造建築物の高さ,壁厚に制限を設けた東京府告示が出され,銀座の煉瓦街が形成されましたが,西洋の直輸入であったため,大正12年の関東大震災で壊滅的な被害を受けました。
その間,建築基準法の前身とも言える,市街地建築法が大正8年に旧都市計画法と共に公布されました。
当初,市街地建築物法は,東京,横浜,名古屋,京都,大阪,神戸の6大都市にだけ適用されましたが,その後,全国の主要都市に適用が拡大されていきました。
第二次世界大戦中は,資材不足もあって,法律が休眠状態となり,戦後は,臨時建築等制限規則による建築統制がしかれました。
ようやく,昭和23年になって市街地建築物法が復活しましたが,戦後の社会に適合する建築行政や立案されつつあった建築士法との関連から,当時の建設省は,全面的な法改正に着手し,昭和25年に建築基準法が誕生しました。
建築基準法の主な改正概要(平成25年まで)
建築基準法の成立以降,大規模な自然災害や火災等により建築物が大きな被害を受けたことや社会的なニーズにより順次改正が行われてきました。
下記に,年次順に表形式でまとめてみます。
施行年次 | 主な改正項目 | 関係法令等 | 主な出来事 |
S25 (1950) | 建築基準法公布 | ・建築士法公布 ・文化財保護法 公布 | ジェーン台風 |
S27 (1952) | 工事監理者選定の義務化 | ・宅地建築取引業法 公布 | 十勝沖地震 |
S31 (1956) | 指定都市の建築主事 設置特例 | ・都市公園法公布 | |
S34 (1959) | 建築物の定義改正, 特殊建築物の範囲拡大, 定期報告,検査制度, 建築設備の準用, 柱の小径規定強化, 22条区域指定 | 伊勢湾台風 | |
S37 (1962) | 審査請求制度 | ・行政不服審査法 公布 | |
S39 (1964) | 危害防止強化,耐火時間, 高層区画, 車庫の容積率不算入 | ・電気事業法公布 | 東京五輪, 新潟地震 (液状化被害) |
S40 (1965) | 特別区の建築主事設置 | 松代群発地震 | |
S43 (1968) | ・都市計画法公布 | 十勝沖地震 (RC短柱被害) | |
S44 (1969) | 防火・避難規定, 竪穴区画の規定, 浄化槽規定強化, スプリンクラー設置部の 面積区画緩和 | ・都市再開発法公布 | |
S45 (1970) | 人口25万人以上の市に 建築主事設置, 鋼構造設計基準策定 | ・水質汚濁防止法 公布 ・廃掃法公布 | 大阪万国博覧会 |
S46 (1971) | 建築計画概要書の閲覧, 防火・避難規定の強化, 高さ31m超の建築物に 非常用昇降機 用途地域拡大,排煙設備 | ||
S47 (1972) | ・労働安全衛生法 公布 | 千日デパート火災 | |
S49 (1974) | 防火戸,避難規定, 内装制限強化 | ・国土利用計画法 公布 | 大洋デパート火災, 伊豆半島沖地震 |
S50 (1975) | 機会駐車装置の築造面積, 工業専用地域の建蔽率強化 | ||
S52 (1977) | 仮使用承認制度, 総合設計制度, 道路幅員の容積率制限, 日影規制 | ||
S53 (1978) | ブロック塀の安全対策 | 宮崎沖地震 | |
S54 (1979) | ・エネルギーの使用 の合理化に関する 法律公布 | ||
S56 (1981) | 基準法大改正,新耐震基準, 高さ60超大臣認定制度, 一団地認定 | ||
S58 (1983) | ・浄化槽法公布 | 日本海中部地震 | |
S59 (1984) | 木造建築士創設, 確認検査の特例, 消防通知,定期報告の拡大 | 長野県西部地震 | |
S62 (1987) | 特定道路容積率緩和, 道路斜線・隣地斜線緩和, ホームエレベーター | 日向灘地震, 千葉県東方沖地震 | |
H01 (1989) | 住宅の地階の居室, アルカリ骨材反応抑制対策 | ||
H05 (1993) | 確認申請のOA化,建築物の定義, 用途地域の細分化 | ・行政手続法公布 | 釧路沖地震, 北海道南西沖地震, 昇降機の戸開走行 による死亡事故 |
H06 (1994) | 住宅のの地階の容積率緩和 | ・バリアフリー法 公布 | 三陸はるか沖地震 |
H07 (1995) | 道路斜線緩和, 道路幅員容積率緩和 | ・耐震改修促進法 公布 | 兵庫県南部地震 |
H09 (1997) | 共同住宅の共用部分の容積率緩和 | ||
H11 (1999) | 確認検査業務の指定確認検査機関 への開放,中間検査制度の創設 | ・住宅の品確法 公布 | トルコ西部地震 台湾中部地震 |
H12 (2000) | 確認検査業務の国の機関事務 から地方自治事務化, 建築基準の性能規定化, 国際単位に移行, 型式認定制度,38条認定の廃止, 建築基準の見直し | ・中央省庁等改革 関係法施行法公布 | 有珠山噴火 三宅島噴火 鳥取県西部地震 |
H13 (2001) | 建設省が運輸省と統合し 国土交通省に名称変更, 準都市計画地域創設 | 芸予地震 | |
H14 (2002) | 天空率, 道路幅員による容積率緩和, 道路・敷地・北側斜線制限の緩和 | ・都市再生特別措置 法公布 | |
H17 (2005) | 既存遡及の緩和, 既存不適格建築物に関する 規制の合理化 | 福岡県西部地震 構造計算書偽装 事件発覚 | |
H19 (2007) | 建築基準法の厳格化, 建築検査等に関する指針, 共同住宅の中間検査義務化, 建築関係図書保存の義務化, 罰則の強化, 構造計算適合性判定制度創設 | ・瑕疵担保責任 履行法公布 | 能登半島地震 新潟県中越沖地震 |
H20 (2008) | 昇降機安全装置の強化 | 岩手宮城内陸地震 | |
H22 (2010) | 建築確認手続き等の運用改善 (第一弾) | ||
H23 (2011) | 建築確認手続き等の運用改善 (第二弾) | 東日本大震災 | |
H25 (2013) | 耐震規定の強化 (天井落下防止等) |
表形式で整理すると,上表のようになります。スマートフォンでご覧の読者様は,見にくいかもしれません。PCでの閲覧を推奨いたします。なお,「建築士試験で必須用語」を赤色のマーカーで示しました。参考にしてください。
建築基準法その他関係法令等の最近の改正概要(平成26年度以降)
平成26年度の主な改正
構造計算適合性判定制度が導入された平成18年の改正以来,約8年ぶりに建築基準法が大幅に改正されました。今回の改正では,より合理的かつ実効性の高い確認検査制度を構築するため,構造計算適合性判定制度の見直しや仮使用制度の民間開放など,建築主・設計者が行う建築確認の手続き等も変更されました。
構造計算適合性判定の見直し
建築主が構造計算適合性判定を直接申請するようになりました。
■建築主は,判定終了後,建築主事等に適合性判定通知書を提出する必要があります。
■適合性判定通知書がなければ確認済証が交付されませんので注意が必要です。
構造計算適合性判定を建築主事等の審査から独立させ,建築主が建築確認とは別に構造計算適合性判定を直接申請する仕組みになり,建築主が指定構造計算適合性判定機関や申請時期を選択できるようになりました。
構造計算適合性判定の対象が合理化されました。
■国土交通省令で定める要件を備える建築主事・確認検査員としては,①構造設計一級建築士,②構造計算適合性判定資格者,③国土交通大臣が行う講習を修了した者等です。
■国土交通省令で定める要件を備える建築主事・確認検査員が在籍しているルート2審査対応機関は,その旨をホームページで公表することとされています。
■高度な構造計算とは,許容応力度等計算,保有水平耐力計算及び限界耐力計算です。なお,耐震診断で構造安全性を確かめる場合は,構造計算適合性判定の対象外です。
①構造計算に関する高度の専門知識及び技術を有する者として国土交通省令で定める要件を備える建築主事・確認検査員が在籍し,当該建築主事・確認検査員が審査を行う特定行政庁又は指定確認検査機関(ルート2審査対象機関)に確認申請する場合,比較的容易である許容応力度計算(ルート2)については,構造計算適合性判定の対象外となりました。
②法第20条(構造耐力)の規定に既存不適格である建築物に増改築を行う際に高度な構造計算を行う場合,新築の場合と同様に構造計算適合性判定の対象となりました。
③エキスパンションジョイント等で構造上分離されている建築物の各部分は,分離されている建築物の方法の適用が可能となりました。
これにより,当該部分ごとに構造計算適合性判定の対象や法第20条第1項第一号の大臣認定の要否を判断することが可能となりました。
構造計算適合性判定の申請図書が簡素化されました。
①平成27年6月1日以降に確認申請(計画変更を含む)を行う場合,建築主は,建築主事等と指定構造計算適合性判定機関等にそれぞれ申請することになりました。
②指定構造計算適合性判定機関に対しては,申請書(正本・副本)と添付図書・書類をそれぞれ2部提出することとなりました。
③確認申請の審査と分離されたことから,構造計算適合性判定に要する図書・書類については,意匠図,構造図及び構造計算書等に限定し,申請図書等が簡素化されました。
仮使用認定制度の見直し
■完了検査前に建築物等を使用したい場合,あらかじめ,特定行政庁や指定確認検査機関に相談して,「仮使用が可能か,指定確認検査機関でも認定を受けることができるか等の判断」を仰ぐことで,その後の手続きを迅速に進めることができます。
■避難施設等の代替措置を要するものなど裁量性のある判断を行う必要がある場合は特定行政庁の認定となります。
①仮使用部分と工事部分とが防火上有効に区画されていること等の一定の安全上・防火上・避難上の基準が定められ,建築主事等が当該基準に適合すると認めた場合,仮使用が可能となりました。
平成27年度の主な改正
■不特定多数の者が利用する建築物など安全性の確保を徹底すべき建築物等については,法令により一律に定期調査・検査の対象となり,それ以外の建築物等については,特定行政庁が地域の実情に応じた指定を行うことができます。
特殊な構造のエレベーターの告示改正(平成27年12月28日施行)
①非常用エレベーターの巻上機等を昇降路上部に設置できることとなりました。
②ホームエレベーターの昇降行程10mの制限が撤廃され,かごの床面積が拡大されました。
耐火建築物の構造方法告示における仕様の追加(平成28年3月30日施行)
耐火構造,準耐火構造,防火構造については,それぞれ政令で定める技術的基準に適合する構造として建築物の部分ごとに告示で定めている具体的な使用にするか,大臣認定を受けた構造とする必要があります。
今回,間仕切壁,外壁の仕様が追加されました。
今後も,大臣認定において複数の者によって類似の申請が行われている仕様や市場でのニーズの高いものについては,順次,実験等による性能確認を行った上で,告示仕様として追加される予定です。
定期報告を要する建築物の指定
①定期報告を要する建築物として,高齢者・障害者等が就寝する施設や不特定多数の者が利用する施設で一定規模以上のものが定められました。
②定期報告を要する建築設備として,一定の昇降機及び防火設備が定められました。
③定期報告を要する工作物として,遊戯施設等が定められました。
伝統的工法の利用促進のための規制の合理化(平成28年6月1日施行)
伝統的工法により円滑に建築できるよう,地震による床組の変形防止方法等について,基準が整備されました。
防火・避難に関する規制の合理化
屋根の燃え抜けが許容される建築物の対象,避難安全検証を適用できる建築物の対象,非常用進入口の設置を要しない建築物の対象を拡大するなど,防火・避難に関する規制が合理化されました。
その他の合理化(平成28年6月1日施行)
①型式認定を受けることができる型式の類型として,現行の建築設備を含めた建築物の型式を加え,建築設備を除いた建築物の型式も認められるようになりました。
②法第20条について既存不適格のまま増改築等を行うことができる特例の対象に,超高層建築物(高さ60mを超えるもの)が追加されました。
建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)
建築基準関係規定としてみなす法律として新たに公布されました。(誘導措置:平成28年4月1日施行,規制措置:平成29年4月1日施行)
平成28年度の主な改正
■平成27年度改正の法令を受けて基準の緩和や合理化が図られる告示が制定されました。
■一団地認定後の事情の変化により,特定行政庁が職権で取消しできる手続き等が明確されました。
告示改正
伝統的工法の利用促進のための規定の合理化
①木造建築物の柱と基礎を緊結しない接合方法が追加されました。
②木造建築物の床組及び小屋梁組に火打材を設けない方法が追加されました。
既存不適格建築物の増改築時等の基準の合理化
①既存不適格のまま増改築を行うことができる建築物に超高層建築物が追加されました。
②吹き抜け部分の増床や階高の高い室内での中間階設置等,建築物の内部に床を増設する小規模な一体増築を行う場合には,現行の計算によらず,耐震診断基準に適合していれば増築可能となりました。
伝統建築材料に係る規定の合理化
伝統的工法により円滑に建築できるよう,地震による床組の変形防止方法等について,基準が整備されました。
建築材料に係る規定の合理化
法第37条において,国土交通大臣が定める建築材料については,その品質が日本工業規格若しくは日本農林規格に適合するもの又は国土交通大臣の認定を受けたものにしなければならないとされていました。
このため,極めて特殊な建築材料を特定の計画のみに使用する場合や特殊な建築材料を使用する建築物として旧38条に基づき国土交通大臣の認定を受けた既存不適格建築物に増改築をする場合においても,国土交通大臣の認定を受けることが必要でしたが,以下のいづれかに適合する建築物については,指定建築材料とならないことになりました。
①法第20条第1項第一号の規定に基づく認定を受けた建築物に使用される建築材料で品質に関する技術基準に適合するもの。
②法第85条第5項の規定による特定行政庁の許可を受けた仮設建築物に使用される建築材料。
③現に存する建築物又は建築物の部分で建築基準法令に違反していないものに使用されている建築材料。
CLTを用いた建築物の一般的な設計法の策定
CLTとは,直交集成板(Cross Laminated Timber)のことを言い,ラミナ(板材)を繊維方向が直交するように積層接着した集成パネルです。
平成27年までは,法においてCLTの強度や一般的な設計法が定められていなかったため,建築物本体にCLTを用いる場合には,実験データ等に基づき,精緻な構造計算を行い,国土交通大臣の認定が必要でした。
JAS規格(平成25年12月)に定められたCLTの規格に基づき製造されたCLTに関して,「材料及び強度の基準」,「燃え代設計」の告示が交付され,CLTを用いた建築物の一般設計法の告示化により,より幅広く,かつ円滑に採用が可能になりました。
耐火性能検証における裏面温度
非加熱面の温度の上限値については,隣室の構造が告示で定める延焼防止の措置(内装仕上げの不燃化や可燃物の設置禁止等)を講じている場合,現行の可燃物燃焼温度より高い温度を設定できるようになりました。
屋根の燃え抜けを許容する建築物の用途・構造
防火地域・準防火地域・法22条区域における建築物の屋根は,飛び火による被害への配慮から,不燃材料でふくことが求められていますが,建築物内部の構造を不燃性の高いものにするなどの措置により,火の粉が屋内に到達しても,建築物全体の火災に発展しないものとして,不燃物倉庫以外の建築物についても,テフロン素材など燃え抜ける材料を屋根として使用することが可能となりました。
防火上主要な間仕切り壁の代替措置となる天井強化
天井の強化により,火災の天井裏への進入を防止できる構造とした場合,間仕切壁を天井裏まで設けなくてもよいことになりました。
避難規定規定における別建築物扱い
開口部のない耐火建築物の床又は壁で区画されている場合だけでなく,火災時において相互に加熱又は煙・ガスによる防火上有害な影響を及ぼさないものとして,告示(平成28年国交省第695号)で規定する渡り廊下で2以上の部分が区画されている場合に,それぞれを別の建築物とみなすことがきることになりました。
特別避難階段の附室,非常用エレベーターの昇降ロビーの排煙方法
従来は,「特別避難階段の附室」「非常用エレベーターの昇降ロビー」そのものに設置する排煙設備のみが規定されていました。「附室・階段室」「昇降ロビー・昇降路」を対象とした排煙設備が可能となりました。
従来の昭和44年建設省告示第1728号,昭和45年建設省告示第1833号は,平成28年国交省告示696号,第697号の規定に移行されました。
非常用進入口を壁に設けない場合の取り扱い
外壁において,消防隊が建築物の内部に進入できる経路が確保できる構造を有する計画であれば,非常用進入口や代替進入口(窓)の設置が不要となりました。(平成28年国交省告示第786号)
木造建築物を対象とした避難安全検証
避難安全検証の適用範囲は,主要構造部が準耐火構造か不燃材料でつくられているもの,特定避難時間倒壊等防止建築物に限定されていましたが,一定の要件を満たす裸木造の場合にも,避難安全検証(個別の状況に応じた検証が必要であり,ルートCの場合に限る。)の対象となりました。
屋上広場,人工地盤を介した避難における直通階段
避難安全検証を行う場合は,屋上広場等を介した避難経路であっても,直通階段とみなすことがきる読み替え規定が置かれました。(ルートB,ルートCいずれの場合も可能。ただし,15階以上の場合に設置が義務付けられている特別避難階段は許容されません。)
耐火構造の構造方法告示における仕様の追加
耐火構造,準耐火構造,防火構造については,それぞれ政令で定める技術的基準に適合する構造として建築物の部分ごとに告示で定めている具体的な仕様にするか,大臣認定を受けた構造とする必要がありました。
今回,柱・梁,床,軒裏,屋根の仕様が追加されました。
型式適合認定の合理化
建築設備の商品開発や更新が頻繁にあるため,型式適合認定において「建築設備」係る規定を除いた一連の規定が創設されました。
① 一連の規定(従来通り)
「構造関係」+「防火関係」+「一般構造関係」+「設備関係」
② 一連の規定(設備抜き)
「構造関係」+「防火関係」+「一般構造関係」
エスカレーターの脱落防止対策
エスカレーターの実大実験等から得られた知見により規定(平成25年国土交通省告示第1046号)が緩和されました。
① かかり代の緩和
エスカレーターが脱落しないためのかかり代が緩和されました。
② 衝突時におけるトラス等の一定の検証方法(トラス等強度検証法)の策定。
実大実験等の結果が得られている仕様のトラス等については,エスカレーターと建築物の梁等が衝突してもトラス等に安全上支障となる変形が生じないことを個別の実験によらない一定の検証方法により確かめられることとなりました。建築物の梁等についても検証を必要となりますが,既存部分の梁等で一定の条件を満たす場合は省略できることになりました。
一団地認定の取消し(平成28年10月3日 公布・施行)
法第86条の「一団地認定制度」は,建築基準法の原則である一敷地一建築物の例外として,複数の敷地を一の敷地とみなして,複数の建築物を建築することを認めたものであり,多くの住宅団地で活用されていました。しかし,住宅団地の建替え等に伴い一団地申請の廃止を行う場合,法86条の5に基づく申請の際に,認定区域内の土地の所有者又は借地権者の全員の同意が必要とされていることから,その合意形成が難しくなっていました。
これを解消するために一団地認定後の事情の変化により,認定の要件を満たさなくなった場合など,特定行政庁が一団地認定の存続が妥当でないと判断する場合には,特定行政庁が職権で取り消すことができる旨を明確化されました。
設計用長周期地震動の策定(平成28年6月24日通知)
内閣府が策定した南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動の震源・規模を基に超高層建築物等の設計用に,設計用長周期地震動の作成手法が策定されました。
新築建築物に関する対策
①対象区域内において,平成29年4月1日以降に性能評価を申請して,大臣認定に基づき新築する超高層建築物について,設計用長期地震動に基づく検証が求められます。
②家具等の転倒防止対策に対する設計上の措置について説明が求められます。
既存建築物に関する対策
①対象区域内の超高層建築物等について,今回検証を求める長周期地震動の大きさが設計時の地震動を上回る場合,詳細検証を行うことが望ましい。
平成29年度の主な改正(公布)
新たに「田園住居地域」が創設され,従前の12用途地域から,13用途地域となりました。
田園住居地域の創設
都市計画法第8条第1項第一号で規定する用途地域に,新たに「農業の利用の増進を図りつつ,これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護する」地域(同法第9条第8項)として「田園住居地域」が創設されました。
これに伴い,用途地域等(第48条),容積率(第52条)及び建築物の各部分の高さ(第56条)等,用途地域に関連する規定の改正が行われ,平成30年4月1日から施行となりました。
平成30年度以降の主な改正
■建築基準法における容積率を算定する場合の基礎となる床面積についてのまとめ【最新版】
■改正建築基準法(平成30年法律第67号)が,令和元年6月25 日から全面施行
【要点】一号確認が,100㎡から200㎡に変更!
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