オール電化にリフォームする際,「電気容量」と「契約」の見直しは必須です。(図1)
「ブレーカー」がすぐに落ちる,電気代が高いといった後々の問題を避けるために,電気容量の設定や屋内配線計画などをしっかり理解しておきましょう。
必要な電気容量の目安をたてる
近年,「エアコン」や食「器洗い乾燥機」,「薄型テレビ」などの大型家電製品が普及し,家庭での電気使用量が増えています。
そのうえに「エコキュート」や「IHクッキングヒーター」など,新たにオール電化を代表する機器類を導入するため,既存の契約容量ではまかないきれなくなるケースの多く見られます。
そこで,必要な電気容量を知るために,現状の契約内容と電気容量をしっかり把握しておきましょう。
また,「ドライヤー」や「電子レンジ」など消費電力の大きな家電製品は,配線計画に影響するため,使用する部屋や場所まで把握しておきたいです。
電気容量は,将来の家族構成の変化や電気製品などのグレードアップ,安全性など考慮して,ある程度ゆとりをもって計画しておくことがポイントです。
電気の引き込みは,単相3線式が最適
電気は,電柱から引込線を経由して各家庭に送られています。
電柱から引込線までと電力量計(メーター)が「電力会社」の財産区分となります。
引込線は,一般的に軒先などに取り付けられている引込線取付点(黄または赤のチューブが付いているところ)までを指します。
そこからの屋内配線は,「建築主の所有物」となります。
ポイントは,引込線が単相3線式になっているかどうかです。
これは,引込線取付点(単相3線式は引込線が3本)やメーターの表示などから判断できます。(写真1・表1)
「単相3線式」とは,一般的な100[V]機器と200[V]機器の両方を利用できる配線システムです。(図2)
最近の住宅では,ほとんどが単相3線式になっていますが,古い住宅のなかには100[V]機器しか使えない単相2線式の場合もあります。
その場合には単相3線式への変更が必要になります。
工事は一般的に,引込線付点までは,電力会社の費用負担で行いますが,引込線付点から分電盤までをつなぐ電線(引込口配線,幹線)および分電盤の交換については,建築主の負担で変更することになります。
電線の太さもチェック
また,引込口配線(メーターまでの電線)のサイズもチェックしておきましょう。
太さによって流せる電流が変わってくるため,電線の容量が不足している場合には太い線に変更しなければなりません。
電線の取替え工事は頻繁に行えないので,余裕を持って太めのサイズのものを敷設しておくことがよいでしょう。
分電盤の交換が必要かどうか
「アンペアブレーカー(電流制限器)」や「漏電遮断器」,「配線用遮断器(回路ブレーカー)」を収めた箱が分電盤です。
分電盤内の配線用遮断器により,住宅内に電気が分配されています。(図3)
特定の回路の電流が大きくなった場合には,この遮断器の一つが作動してその回路だけ電気を止める仕組みです。
回路とは,分電盤から各部屋へ電気を流す配線のことで,通常は1部屋に1回路,もしくは複数の部屋で1回路,照明用回路などに分けられています。
古い住宅は回路数が少なく,複数の部屋で1回路を共有しているケースも多く,負荷が集中した回路のブレーカーが落ちやすいです。
一般的に1回路で同時に使える電気は,12~15[A]程度が目安となっています。
「エアコン」や「食器洗い乾燥機」,「電子レンジ」などは1つの機器で消費電力が,1000[W]を超えるため,同時に2つを使うことができません。
特に,機器が集中するキッチンは,電子レンジに専用回路を1つ,その他の用途に1回路といった具合に複数の回路を設けるほうがよいです。
また,200[V]と100[V]はそれぞれ別の回路が必要なので,「IHクッキングヒーター」などの200[V]の機器を導入するには,それだけで1回路を使うことになります。
回路数は,部屋数や家族構成に応じて余裕をもたせて決定し,予備として2~3回路用意しておくと安心です。(表2)
既存の分電盤の回路数を確認し,回路数が少なければ交換を検討しましょう。
必要な分のみ回路を増設することも可能です。
また,「アンペアブレーカー」がついている場合は,色から契約しているアンペア(電流)がわかります。
契約容量の見直しの際に,必要な情報のため,必ず確認しておきたいポイントです。
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