施工計画書の内容と構成
施工計画書の内容
施工計画書とは,施工の手段・方法を具体的に記述したもので,仮設,安全・環境対策,工程,品質計画などの内容を含む。
施工計画書の構成
概要 | |
基本工程表 | 主要な工事項目とともに,監理者の検査・承認などの日程を記入する。監理者の承認を受ける。 |
総合施工計画書 |
工事の着手に先立ち、次の事項の大要を定めた総合的な計画書を作成し,監理者に提出する。また,品質計画に関する部分は,監理者の承認を受ける。 ① 総合仮設を含めた工事の全般的な進め方,主要工事の施工方法 ② 品質目標と管理方針,重要管理事項 |
工事種別施工計画書 |
主要な工事について作成し,必要に応じて監理者と協議する。個別の工事に対する計画書であり,次のものを含む。 ① 工程表 ② 品質管理計画書 ③ 施工要領書(一般的に下請け業者が作成する) |
設計図書の構成と優先順位
設計図書
設計図書には標準仕様書,設計図(別冊の図面),特記仕様書,現場説明書,質問回答書が含まれる。ただし、請負代金内訳書(見積書)は含まれない。
設計図書の優先順位
設計図書の優先順位は次のとおりである。基本的には後で作成されたものほど優先順位が高い。
- 質問回答書
- 現場説明書
- 特記仕様書
- 設計図(別冊の図面)
- 標準仕様書
標準仕様書
建築物の質的水準の統一や設計図書作成の合理化を図ることを目的として,工事に使用される材料,工法,試験方法等の標準的な仕様について,あらかじめ作成されたもの。
特記仕様書
設計図では表現できなかった施工上の事項,材料の規格・品質,材料の製造業者などを文章化したもの。
埋蔵文化財その他の物件
工事の施工に当たり,埋蔵文化財その他の物件を発見した場合は,直ちにその状況を監理者に報告する。その後の措置については,監理者の指示に従う。なお,工事に関連した埋蔵文化財その他の物件の発見に係る権利は,発注者に帰属する。
工程表の作成上の留意点
- 躯体工事には,天候・祝祭日の影響,労働力の季節変動・地理的立地条件などを見込む。
- 仕上げ工事は,エ種が多く,養生・乾燥期間などの余裕を見込む必要があり,工期の短縮は難しい。
ネットワーク工程表
ネットワークによる工程表において,最も時間のかかる作業経路をクリティカルパスといい,これを重点管理することが,工程管理上,最も重要である。
用語 | 意味 |
ネットワーク | 作業の順序関係を矢線と丸印で表現した網状図 |
ダミー | 作業の相互関係だけを表ホし、実際の作業を含んでいない矢線 |
結合点 | 作業またはダミーを結合する点,および工事の開始点または終了点 |
クリティカルパス |
・最初の作業から最後の作業に至る最長(最も時間のかかる)のパスである ・トータルフロートが最小(一番余裕のない)のパスである ・これを重点管理することが,工程管理上,最も重要である |
フロート | 作業の余裕時間 |
トータルフロート |
・作業を最早開始時刻(EST)で始め,最遅終了時刻(LFT)で終わらせて存在する余裕時間 ・TF =(その作業のLFT)-(その作業のEST)-(所要日数) |
フリーフロート |
・作業を最早開始時刻で始め,後続する作業も最早開始時刻で始めてなお存在する余裕時間 ・FF =(次の作業のEST)-(その作業のEST)-(所要日数) |
工事の記録
次のいずれかに該当する場合は,施工の記録,工事写真,見本などを整備する。
- 設計図書に定められた施工の確認を行った場合
- 工事の施工による隠ぺいなどで、後日の目視による検査が不可能または容易でない部分の施工を行う場合
- ーエ程の施工を完了した場合
- 適切な施工であることの証明を監理者から指示された場合
確認問題(YouTube)
参考文献:1級建築士試験 学科 ポイント整理と確認問題(総合資格学院)
参考リンク集
一級建築士学科試験対応版 重要ポイント整理と確認問題
二級建築士学科試験対策にも活用してください。
学科Ⅰ(計画)
学科Ⅱ(環境・設備)
学科Ⅲ(法規)
学科Ⅳ(構造)
学科Ⅴ(施工)
一級建築士学科試験過去問
【hint!】「言うまでもなく,過去問対策は重要です。」
二級建築士学科試験過去問
【hint!】「基礎対策に二級建築士学科試験は,基本的な良問が多いです。」
コメント