日常的に構造計算をされている方は,あまりにも基本的なことな投稿になります。
数年前に実際に経験したことを記事にします。
特に,意匠設計を主に業務されている方は,注意してください。
ことの発端は,ある木造建築物の地盤調査をスウェーデン式サウンディング試験で依頼したところ,地盤の状態が比較的に良かったせいか?とんでもない地盤の許容応力度を提示されたので,びっくりしたどころか,二度とこの業者には依頼できないという経験をしました。
みなさんも,地盤調査は信頼できる業者に依頼しましょう。
ここで構造設計一級建築士の私が,スウェーデン式サウンディング試験の許容応力度について解説します。参考になれば幸いです。
【解説】
令第93条の規定により,地盤の許容応力度は国土交通大臣が定める方法によって地盤調査を行い,その結果に基づいて定めなければならないとされています。国土交通大臣が定める地盤調査方法は平成13年国土交通省告示第1113号第1に下記の10の方法が示されています。
- ボーリング調査
- 標準貫入試験
- 静的貫入試験
- ベーン試験
- 土質試験
- 物理探査
- 平板載荷試験
- 載荷試験
- くい打ち試験
- 引抜き試験
主に小規模建築物を対象とした地盤調査方法にスウェーデン式サウンディング試験があります。
この試験は静的貫入試験に分類され,地盤の許容応力度を定める方法は,平成13年国土交通省告示第1113号第2の表中(3)項に示されています。
長期の許容応力度:qa=30+0.6xNsw
短期の許容応力度:qa=60+1.2xNsw
ここで,Nswは,基礎の底部から下方2m以内の距離にある地盤のスウェーデン式サウンディングにおける1[m]あたりの半回転数(150を超える場合は150 とする)の平均値です。
すなわち,1[m]あたりの半回転数の平均値Nswは150を上限とされているので,地盤の長期の許容応力度の上限は120[kN/㎡], 短期の許容応力度の上限は240[kN/㎡]となります。
なお,同告示ただし書きにより,地震時に液状化するおそれのある地盤の場合又は基礎の底部から下方2[m]以内の距離にある地盤にスウェーデン式サウンディングの荷重が1[kN]以下で自沈する層が存在する場合若しくは基礎の底部から下方2[m]を超え5[m]以内の距離にある地盤にスウェーデン式サウンディングの荷重が500[N]以下で自沈する層が存在する場合にあっては,建築物の自重による沈下その他の地盤の変形等を考慮して建築物又は建築物の部分に有害な損傷,変形及ぴ沈下が生じないことを確かめる必要があります。
スウェーデン式サウンディング試験の結果を平成13年国全交通省告示第1113号第3 号第2表中(3)項に代入して地盤の許容応力度を算定する場合は上限があります。
【上限値】
- 長期の許容応力度:120[kN/㎡]
- 短期の許容応力度:240[kN/㎡]
となります。
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